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エンタープライズナレッジグラフ(EKG)とは?その定義と、o9のEKGの特徴・活用メリットを分かりやすく紹介

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The Digital Brain Platform

12 読了 分

エンタープライズナレッジグラフとは?

エンタープライズナレッジグラフ(EKG)とは、一言で表すと『社内に散らばったデータを、点と線の網の目(ネットワーク)でつなぎ合わせたデジタル地図』のことです。

一般的なデータベースやエクセルは、縦と横の表で管理されています。しかし、実際のビジネスは「この製品は、どの工場の、どの機械で作られ、どのサプライヤーの部品を使っていて、どの顧客に売れるのか」という複雑な繋がりでできているため、階層が深くなればなるほど探すのが非常に難しくなるといった制限があります。

一方、エンタープライズナレッジグラフは、SNSの人間関係図や家系図のように、データを点、関係性を線で表現します。そのため、「Aという部品が遅延したら、どの製品とどの顧客に影響するか」といった繋がりを迅速に検索・可視化できます。

o9エンタープライズナレッジグラフ

一般的なエンタープライズグラフは検索や可視化のための静的なデータマップにとどまっており、また、データ同士の繋がりを探すのは得意です。

そのため、多くの企業ではエンタープライズナレッジグラフを利用しても「何が起きたのか」を把握できる一方、「なぜそれが起きたのか」「どの意思決定がその結果をもたらしたのか」、そして「次回も同じ選択をすべきなのか」まで把握するのは難しいのが現状です。

計画はその前提条件と切り離され、意思決定の経緯は会議の場や職人の頭の中に埋もれています。結果の振り返りは行われるものの、その結果を生み出した要因などがしっかりと検証されることはほとんどありません。

o9エンタープライズナレッジグラフは、まさにこうした断絶された要素をつなぎ合わせるために設計されています。

関係性を示す「グラフ」と、数値データの高速な集計・分析を行う「多次元データモデル(キューブ)」を特許技術でグラフキューブとして一体化させることにより、散在した粒度の異なるデータを一元管理しつつ、超高速に同期・計算処理できるようになっています。

さらに、単にデータを繋ぐだけでなく、4つの構造化されたレイヤーで企業のオペレーションをモデル化しており、自ら計算し、意思決定までを自動化するよう設計されています。本記事では、その詳細をご紹介します。

レイヤー1:バリューチェーン・グラフ(バリューチェーンのデジタルツイン)

第1のレイヤーである「バリューチェーン・グラフ」は、企業全体において価値がどのように生み出され、動いているかを表現します。

大半の企業では、ビジネスのモデル化が断片化したシステムごとに行われています。製品データはあるシステムに、顧客の受注データは別の場所に、工場の生産能力データはさらにまた別のシステムに分散し、財務の前提条件はエクセル上で管理されているといった状態です。バリューチェーン・グラフは、これらの分散した要素を全社共通のデータモデルで統合します。
ここには、事業の仕組みを定義する比較的変動の少ない基盤構造ー製品、部品構成表(BOM)、サプライヤー、工場、配送センター、顧客、契約、プロモーション、コスト構造、そして財務上のガイドライン(ガードレール)などーが含まれます。

同時に、時間とともに変化するファクト、前提条件、計画も保持します。

  • ファクト:在庫ポジション、受注残、使用可能能力、リードタイム、実績コスト、粗利など
  • 前提条件:需要予測の前提、プロモーションによる引き上げ効果の想定、サプライヤーの供給能力、将来コストなど
  • 計画:需要、供給、在庫、商業施策、財務の各領域にわたり、時間軸に沿って企業の意思を構造化したもの

ファクト:在庫ポジション、受注残、使用可能能力、リードタイム、実績コスト、粗利など
前提条件:需要予測の前提、プロモーションによる引き上げ効果の想定、サプライヤーの供給能力、将来コストなど
計画:需要、供給、在庫、商業施策、財務の各領域にわたり、時間軸に沿って企業の意思を構造化したもの

これらの計画は、単なる静的なスナップショットとして保持されるわけではありません。バージョン管理され、計画策定の根拠となった前提条件と直接紐付けられるため、本グラフ上では、ドラフト計画、承認済みのベースライン計画、変更が制限される固定区間に入った計画をそれぞれ区別して管理できます。

さらに、予実乖離や個別状況の把握も担います。例えばサプライヤーの納入遅延が発生した場合、その影響がどの製品、顧客、拠点、計画バージョン、サービスレベルリスク、そして財務インパクトに波及するかを即座に紐付けて可視化します。

レイヤー1は、「サプライチェーンの構造はどう定義されており、その現在および将来の予測状態はどうなっているか?」という問いに解を示します。

しかしその価値は、単なる可視化にとどまらず、営業、オペレーション、調達、財務の各部門に対して共通認識をもたらすと同時に、AIエージェントやアルゴリズムがサイロ化された個別計画の枠を超え、全社で論理的推論を行うために不可欠なコンテキストを提供することにあります

“エンタープライズナレッジグラフのようなテクノロジーへの投資は、極めて確実性の高い選択肢といえます”

リカルド ドミンゲス氏

RHIマグネシタ社 サプライチェーン&調達 イノベーション・製品ガバナンス責任者

レイヤー2:意思決定コンテキスト・グラフ(意思決定のエンタープライズメモリ)

世の中の企業の圧倒的多数は、日々の取引実績を記録する基幹系システム(System of Record)を備えています。しかし、意思決定そのものを体系的に記録する仕組みがある企業はほとんどありません。

一般的な計画システムを見れば、需要予測が変更されたこと、在庫が移動したこと、あるいは生産枠が再配分されたことは把握できます。しかし、「誰がその変更を承認したのか」「どのような代替案が検討されたのか」「どの前提条件に基づいて判断されたのか」「どのような成果が期待されていたのか」までは記録されていません。

第2のレイヤーの意思決定コンテキスト・グラフは、まさにこの空白を埋めるものです。

本レイヤーは、下された意思決定を構造化されたデータオブジェクトとして記録し、ビジネスにおける意思決定はすべて責任者、タイムスタンプ、適用範囲、影響を受けた計画バージョン、判断に使用されたファクトや前提条件、そして事後にその有効性を判定するための評価指標と紐付けて保持されます。

対象となる意思決定は多岐にわたります。配送センターの新設といった「戦略レベル」、季節プロモーションの承認といった戦術レベル、欠品時の在庫再配分といったオペレーションレベルまで網羅されます。また、経営陣やプランナーといった人間が下す決断だけでなく、最適化エンジンやAIエージェントが自動生成する判断も同様に対象となります。

さらに本グラフは、実務において混同されがちな3つの概念を分離します。

  • コミットメント(確定した義務として企業が実行を約束したこと)
  • 予測(客観的に起こると見込んでいること)
  • ターゲット(野心的な目標として達成したいこと)

この3つを明確に区別することは非常に重要です。コミットメント、予測、目標が曖昧に混同されると、説明責任が形骸化し、計画に恣意的なバイアスが入り込みやすくなります。現場は業績評価を守るために過度に控えめなコミットメントに終始したり、逆にリスクを軽視したまま過度に楽観的な前提に頼ったりしてしまいます。

意思決定コンテキスト・グラフは、実際の結果を過去の具体的な意思決定、前提条件、計画バージョンと紐付けることで、組織が過去から学ぶための基盤を築きます。

「なぜ計画が未達に終わったのか」を単に問うのではなく、前提条件や対応策、計画との乖離などあらゆる側面から検証し、学習します。

レイヤー2は、「我々は何を決定し、なぜそう判断し、その結果どうなったのか?」という問いに明確な答えをもたらします。

レイヤー3:学習済みルール・グラフ(ポリシーとルールの組織知)

企業には、膨大な経験や知見が蓄積されていますが、その多くは属人化しており、組織として活用できる状態にありません。

例えば、ベテランプランナーであれば「特定のサプライヤーは季節の繁忙期に納期遅延を起こしやすい」ことを知っていたり、営業部門のリーダーは「特定のプロモーションは売上を伸ばすものの粗利を希薄化させる」と肌感覚で理解し、サプライチェーンの責任者は「事前の在庫積み増しは、特定の需要・生産能力・有効期限の条件下でのみ機能する」と理解している場合があります。

第3のレイヤーとなる学習済みルール・グラフは、こうした個人の経験や勘を組織知へと変換します。
本レイヤーは、先の2つのレイヤーで蓄積された実績データを活用し、サマリー、インサイト、ポリシー、そして実行可能なルールを導き出します

  • サマリー:直近四半期における在庫計画と実績の乖離幅の推移といった全体像を示す。
  • インサイト:前提条件の変動性の高さや需要変更の遅れなど、乖離を生み出した因果関係のパターンを特定する。
  • 実行可能なルール:同様の状況が生じた際に、追加のシナリオ分析を必須とするといった具体的な制約や手順を規定する。

ここで重要なのは、ルールに条件を付与するということです。単に「予測精度を向上させたい」や「部門連携を図る」といった抽象的な要素では、実務に適用することはできません。特定のアクションが成功しやすい、あるいは失敗しやすい条件を明確に定義してこそ、ルールは意味を持ちます。

例えば、プロモーションに伴う需要引き上げの前提が過去の実効弾力性を超えている場合、事前の在庫積み増しが非常に高い確率で失敗することを学習します。結果として、企業は同様の計画を承認する前に、弾力性モデリングの実施を必須プロセスとして組み込めるようになります。

学習済みルール・グラフは、属人化した運用から脱却し、事前に検証された意思決定ロジックを計画立案プロセスに定着させる役割を果たします。

レイヤー3は、「我々は何を学び、次回の計画や意思決定のあり方をどう変えるべきか?」という問いに答えます。

レイヤー4:コネクテッドコンピュート・グラフ(アジャイルで実行可能なエンジン)

レイヤー1から3までは、企業の実態、下された意思決定、そして蓄積された学習結果を構造化して表現する基盤です。このレイヤーでは、蓄積した知見を実際に活用するという役割を担います。

コネクテッドコンピュート・グラフは、o9 エンタープライズナレッジグラフの後ろで稼働する中核エンジンとなります。データパイプラインや需要予測モデル、シミュレーション、最適化アルゴリズム、そしてAIエージェントを、単一の演算基盤へと統合します。

バラバラのモデルやスクリプトを単に並列実行するのではなく、全体の依存関係を正確に把握して稼働するのが大きな特徴となっており、どの計算をどの順番で実行すべきか、どの入力データや前提条件が必要か、そして下流のどの計画に影響が及ぶかをシステム自身が理解できます。
この計算処理は、定期的な計画サイクルのほか、需要急増やポリシー違反といった例外イベントの発生、経営陣やプランナー、AIエージェントからの問いかけをトリガーとして実行されます。

トリガーを受け取ると、エンジンは次の4つの問いに沿った推論プロセスを実行します。

  • 何が起きたのか、そしてなぜ起きたのか?(事後分析)
    • 適用中の計画や前提条件に照らし合わせて予実乖離を特定し、根本原因を分析します。
  • 現状はどうなっているか?(最新状態の把握)
    • オペレーションおよび財務の全体像を、最適な粒度で最新状態に更新します。
  • 今後何が起きそうか?(将来予測)
    • 複数の前提条件や制約に基づき、予測モデルやシミュレーションを用いて予想結果を算出します。
  • 最善のアクションは何か?(打ち手の提示)
    • 最適化エンジンやレコメンデーション機能が、在庫の再配分、供給の緊急手配、代替部材の選定、計画の修正といった打ち手を提示します。
“エンタープライズナレッジグラフは、状況変化の評価、シナリオの比較、要因の特定を圧倒的なスピードで実行する変化対応力を企業にもたらします。AIエージェントを活用することで、一連の処理を直感的な対話型インターフェース経由ですぐ実行できます”

アシュウィン ラオ

o9ソリューションズ CTO(最高技術責任者)

このレイヤーでの演算処理は、本番の計画環境だけでなく、現在のベースライン計画に影響を与えないWhat-if分析でも実行できます。複数の選択肢を比較・検証した上で採用した対応策は、承認を経て実際の計画へすぐに反映されます。さらに、システム全体が依存関係グラフとして構築されているため、前提条件やデータに変更があった場合も、計画モデル全体を再実行する必要はなく、影響を受けた箇所のみを高速で再計算します。

レイヤー4は、「企業のデータ、コンテキスト、蓄積された知見を活用し、次に取るべき最善の打ち手をどう実行するか?」という問いに答えます。

4つのレイヤーが形成する、ひとつの学習ループ

このように、4つのレイヤーはそれぞれ別々のビジネス課題を解決します。

  • バリューチェーン・グラフ:事業構造と計画成果物を可視化・表現
  • 意思決定コンテキスト・グラフ:意思決定の経緯と責任の所在を記録
  • 学習済みルール・グラフ:過去の経験から組織が得た知見をルールとして蓄積
  • コネクテッドコンピュート・グラフ:蓄積された知見を活用して分析、予測、処方、実行へと繋ぐ

これら4つが密に連携することで、自律的かつ継続的な学習ループが確立されます。

経営戦略と財務上のガイドラインが計画の前提範囲を規定し、演算エンジンが複数の代替案を導き出します。

意思決定者は、計画を承認してコミットメントを下し、現場のオペレーションを実行することで実績が生まれ、その実績を背後にある意思決定、前提条件、計画バージョンと紐付けてすぐに検証することができます。そしてここで得た教訓を、新たなポリシーやルールへと形式化することで、次の計画サイクルの精度をさらに高めることができます。

計画を立てて事後的に振り返るだけのオープンループ(非循環型)企業から、環境変化を感知し、判断を下し、学び、そして適応し続けるクローズドループ(自動循環型)のオペレーティングモデルへの転換を意味します。

意思決定を下した理由を組織として記憶し、その判断が意図通りに機能したかを理解し、得られた教訓を全社規模で活かすことが、今日の企業に必要なアプローチとなります。

エンタープライズナレッジグラフについてさらに詳しく知りたい方は、こちらのホワイトペーパーをご覧ください。

著者について

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米国ダラスに本拠を置くo9 Solutions(オーナイン・ソリューションズ)は、AIを搭載した次世代サプライチェーンプランニングプラットフォーム『o9デジタルブレイン』を提供しています。多様な業界の大手企業に導入されているo9デジタルブレインは、需要予測や供給計画、統合事業計画など、企業のサプライチェーンDXを強力に支援しています。私たちのミッションは、o9デジタルブレインを通じて、グローバル企業のサプライチェーン、商業、財務、サステナビリティにまつわる意思決定を変革することです。

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