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aim10x Digital 2026 小売セクターの要点:個別最適ではなく、組織横断での全社的意思決定の重要性

2 読了 分

弊社が2026年3月18日に開催したオンラインイベント『aim10x Digital』にて、当社のエグゼクティブ・チェアマン兼共同創業者兼CEOチャクリ・ゴッテムカラが、VUCA時代に対応する新たなオペレーティングモデル「APEX」を提示した後、マンゴー社、トータルワイン・アンド・モア社、マイクロソフト社が、増大する複雑性に先手を打つべく自社のオペレーティングモデルをどのように変革しているかを共有しました。

セッション全体を通じて共通していたメッセージは明確です。現代の小売業における優位性は、個別の計画策定から生まれるものではありません。変化をいち早く察知し、組織横断で意思決定を連携させ、日々確実に実行へ落とし込む力こそが鍵となります。

本記事では、各セッションから得られた重要な示唆をまとめます。aim10x Digitalの他の業界別セッションのポイントもあわせてご覧ください。
また、ぜひ他の業界別セッションのまとめ記事も併せてご覧ください。

マンゴー社:緻密な動的計画によるマーチャンダイジング最適化

マンゴー社は100以上の市場に数千の店舗を展開し、急速に成長するオンラインチャネルも抱えるグローバル企業です。メンズウェア部門だけでも、複数の商品カテゴリー、市場、チャネルにわたって数千のSKUを管理しながら、在庫・マージン・資金繰りを厳密にコントロールする必要があります。

こうした環境において、チームの連携を担保しながら、シーズン中の市場変化に早期かつ精度高く対応できる、粒度の高いデータドリブンなマーチャンダイジング計画をどう実現すればいいのでしょうか。

マーチャンダイジングプランニング ディレクターのエドアルド・デカロ氏は、まさにこの課題に正面から向き合いました。計画は数カ月前に確定しますが、シーズンが始まると「当初の計画はもはや現実を反映していない」と同氏は述べます。需要はフィット感、市場、チャネルによって変動します。そして現在の環境では、「その影響を事後に把握した時点では、すでに手遅れ」なのです。

デカロ氏が語った主な教訓は以下の通りです。

第一に、粒度は意図的に設計しなければなりません。的確なアクションを取るには、商品・市場・週単位の可視性が必要です。しかし「すべてのスタイル、すべてのサイズ、すべての店舗、すべての週を同じ粒度で計画しようとすると、意思決定の質は上がらず、むしろ遅くなる」と同氏は強調します。アクションに変化をもたらす箇所に絞って粒度を高める、その判断こそが重要です。

第二に、計画は動的でなければなりません。「計画は文書ではなく、常に更新される参照点です」とデカロ氏は言います。チームは計画と実績を継続的に照合し、早期シグナルをもとに修正を加えます。目標は一度だけ完璧な計画を立てることではなく、「早期に軌道修正を行うこと」です。

第三に、これをスケールで実現するにはテクノロジーが不可欠です。テクノロジーなしでは、粒度の高い計画はエクセルと遅延の泥沼に沈みます。マンゴー社では、マーチャンダイズ・ファイナンシャル・プランニング(MFP)の基盤として、o9 デジタルブレインを採用しました。デカロ氏の言葉を借りれば、o9は「意思決定を代替するものではなく、より迅速に、より一貫した形で、マニュアル作業では不可能な粒度で意思決定の準備を整えてくれる」ものです。一元的な計画環境を構築することで、チームは数値の突き合わせに費やす時間を削減し、価値創造に直結する専門的な判断に集中できるようになります。

トータルワイン・アンド・モア社:複雑なネットワークにおける在庫最適化の実現

トータルワイン・アンド・モア社にとって、在庫最適化は単なる需要予測の問題ではありません。規模、規制、オペレーション上の制約が複雑に絡み合う、日々の調整業務です。これを適切に管理することで、「システム全体の在庫量を削減しながら、店頭欠品率を改善できる」とサプライチェーン&マーチャンダイジング プロダクトマネジメント バイスプレジデントのケルビー・シーメン氏は説明します。

米国最大の独立系ワイン・ビール・スピリッツ小売業者として、トータルワイン・アンド・モア社は29州に280店舗以上を展開し、高度に規制された三層のサプライネットワークを通じて20万以上のSKUを管理しています。品揃えは市場によって異なり、配送枠は固定されています。州によって在庫転送の可否も異なり、このような環境下では、わずかな在庫バランスの崩れがサービス低下、運転資本の増加、輸送コストの上昇に直結します。

このエンドツーエンドの複雑性に対応するため、同社はo9 デジタルブレインを導入し、需要計画、供給計画、アロケーション&補充、マーチャンダイジング・ファイナンシャル・プランニング、トラック積載計画を単一の統合プラットフォームに統合しました。

「私たちはカテゴリーキラーだ」とシーメン氏は言います。取り扱うSKUは約20万件に及び、個々の店舗でも最大10万件を揃えます。さらに、州ごとに40から60の卸売業者が存在し、法規制と運用の複雑さが幾重にも重なるため、シーメン氏は「これらの制約条件をシステムに組み込むことは不可欠だ」と述べています。

スタイジャー氏が語る効果的なポストゲーム分析の原則

  • システムをエンドツーエンドで把握する:自部門だけでなく、自社固有のシステムにおける原因と結果の関係を理解する。
  • 指標から始める:感情に頼らず、製品、地域、顧客、期間軸でデータを深掘りし、平均値に隠れた問題を特定する。
  • 心理的安全性を守る:「誰が間違えたか」を探る場になった瞬間、その分析は価値を失う。

エージェンティック小売計画デモ

2つのエージェンティック小売計画デモでは、マンゴー社が提示した課題への対応を、連携・動的計画の段階からさらに進め、より自律的な意思決定へと発展させる可能性を示しました。

  • 次世代統合マーチャンダイジング・品揃え計画による小売成長の促進:AIエージェントがマーチャンダイジングチームの品揃えと在庫の最適化を支援し、スケーラブルな成長を実現する方法を実演しました。
  • 流通センターから店頭までタッチレスな実行を実現:AIを活用した高度に自動化されたプロセスにより、流通センターから販売時点までのシームレスなタッチレス予測・実行を可能にする仕組みを紹介しました。

両デモはaim10x Digitalイベントプラットフォームにてオンデマンドでご視聴いただけます(4月18日まで)。ご登録はこちら:/ja/events/aim10x-digital

マイクロソフト社:データの統合によるマーチャンダイジングの高度化

マイクロソフト社のワールドワイド小売・消費財 シニアインダストリーアドバイザーのキンバリー・マッキンリー氏は、ブルーミングデールズ社やルイ・ヴィトン社で培った知見を、テクノロジー面から小売企業の計画モダナイゼーションを支援する現在の役割に活かしています。

同氏はまず、多くの小売業者がいまだに「データの統合」に多大な時間を費やしているという根本的な課題を指摘しました。組織全体でエンドツーエンドの可視化を共有し、リアルタイムで反応できる環境がなければ、意思決定は停滞します。特にシーズン中における遅延コストは莫大です。四半期末や利益目標の達成が迫る局面では、数時間で済む作業に数日間を費やすことの代償は極めて大きいと言えます。

解決策はシンプルです。まずは、共通のKPIに基づいた「単一の視点」からビジネスを俯瞰することです。チームが数字の正当性を議論するのをやめ、数字に基づいて行動を開始すれば、意思決定のスピードと質は即座に向上します。

この基盤が整って初めて、AIは実用的なものとなります。マッキンリー氏は、例外ベースのワークフローこそが最適な導入点であると述べます。ルール化された反復的なプロセスは自動化すべきであり、これが「サイエンス」の領域です。そして残るのが「アート(感性)」、すなわち小売企業の差別化要因となるバイヤーの直感、ブランド戦略、そしてシーズン中の判断力です。

目的は専門知識を置き換えることではなく、マニュアル作業を排除することで、人間の知性をより高度な次元へと引き上げることにあります。



※本記事は、2026年3月に米国で公開された記事の抄訳版です。内容および解釈については英語版が優先されます。

その他、様々なお役立ち情報をこちらに用意しております。併せてご覧ください:/ja/resources

著者について

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The Digital Brain Platform

米国ダラスに本拠を置くo9 Solutions(オーナイン・ソリューションズ)は、AIを搭載した次世代サプライチェーンプランニングプラットフォーム『o9デジタルブレイン』を提供しています。多様な業界の大手企業に導入されているo9デジタルブレインは、需要予測や供給計画、統合事業計画など、企業のサプライチェーンDXを強力に支援しています。私たちのミッションは、o9デジタルブレインを通じて、グローバル企業のサプライチェーン、商業、財務、サステナビリティにまつわる意思決定を変革することです。

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