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aim10x Digital 2026 製造セクターの要点:エンドツーエンドの統合計画を追求し、絶えず察知・学習・適応し続ける力

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弊社が2026年3月18日に開催したオンラインイベント『aim10x Digital』にて、当社のエグゼクティブ・チェアマン兼共同創業者兼CEOチャクリ・ゴッテムカラが、VUCA時代に対応する新たなオペレーティングモデル「APEX」を提示した後、グーグル社、RHIマグネシタ社、アポロタイヤズ社、フィンサ社、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)社、シリコン・ラボラトリーズ社の製造・サプライチェーン部門リーダーたちが、サプライチェーンの俊敏性確保、スケーラブルなレジリエンスの設計、事後分析の仕組み化、そしてo9 デジタルブレイン稼働後の継続的改善といった重要課題にどう取り組んでいるかを共有しました。

ハイテク・半導体から特殊素材、建材、自動車に至るまで、各社のサプライチェーン構造、製品ライフサイクル、資本集約度、需要パターンはそれぞれ異なります。
しかし、こうした違いを超えて、共通のメッセージが浮かび上がりました。現代の製造業における競合優位性は、個別機能の最適化では生まれません。エンドツーエンドの統合計画を追求し、絶えず察知・学習・適応し続ける力こそが鍵となります。

本記事では、各セッションから得られた重要な示唆をまとめます。aim10x Digitalの他の業界別セッションのポイントもあわせてご覧ください。
また、ぜひ他の業界別セッションのまとめ記事も併せてご覧ください。

グーグル社:アジリティを定量的なサプライチェーン価値へ転換

「オーダーから納品までのパフォーマンスは2桁改善を達成しました。初年度に納期遵守率が2桁台で向上し、翌年にはさらに10%改善。在庫回転率も大幅に向上し、過剰・陳腐化在庫も2桁台で削減できました。」

これは、グーグル社のグローバルなデータセンターインフラを支えるネットワーキングオペレーション部門が達成した成果です。同チームは、Gemini、検索、YouTube、Gmailなどのサービスを維持するために不可欠なサーバーやラック、スイッチを世界規模で展開しています。

この環境では、ネットワーキングサプライチェーン&オペレーション ディレクターのスプリヤ・アイヤー氏が指摘するように「1つの部品の欠品が連鎖的な重大問題を引き起こす」可能性があります。

同氏にとって、アジリティとはスピードを優先することではなく「速くても間違っていては意味がない」と同氏は述べます。目指したのは、シグナルからアクションまでの時間を短縮しながら、信頼性を絶対条件として維持することでした。誤った部品を誤ったデータセンターに送れば、配備が遅延し、下流での手戻りが発生します。迅速さが意味を持つのは、正確さが担保されてこそです。

オペレーティングモデルの抜本的変革

数年前まで、こうした対応力は同氏が「英雄的な個人の努力」と表現する属人的な取り組みに依存していました。「再現性もなく、スケールもできない状態でした」と同氏は振り返ります。転換点となったのは、o9 デジタルブレインを活用し、アジリティをオペレーティングモデルそのものに「エンジニアリング」として組み込んだことです。意思決定のロジックが標準化され、計画頻度が上がり、部門横断の連携が強化され、シナリオ分析が日常的なプロセスとなり、在庫は受動的なバッファから能動的なレバーへと変わりました。

「在庫が国・地域・グローバルの各レベルで適正化されことによりキャッシュに余裕ができ、スペースも生まれ、本当に必要なものを必要なタイミングで調達できるようになったのです。」

この変革により、部材の可用性はもはや経営上の懸念事項ではなくなりました。ある幹部が「サプライチェーンが退屈なもの(当たり前のもの)になった。もはや議論の必要すらない」と語ったことが、成功の証です。

アイヤー氏は「アジリティが機能しているとき、現場に混乱はなく、むしろ穏やかなのです」と述べ、現在は例外管理や高度な課題解決に取り組んでおり、意思決定サイクルが速くなったことから、地域をまたいだ成果の一貫性も高まっているといいます。

さいごに、同氏はこの変化がチームの在り方にも影響をもたらしていると言い「チームは精神的にも、感情的にも、体力的にも健全です。自分たちの仕事が及ぼす影響を可視化できるようになったことで、チームには強い誇りとエンゲージメントが生まれています」と述べました。

RHIマグネシタ社:すべての計画サイクルを改善の機会に

耐火物のグローバルリーダーであるRHIマグネシタ社のエンドツーエンドサプライチェーン アーキテクト、ロブ・スタイジャー氏は、優れた計画機能を持つ組織は厳格な事後分析を重要視していると言います。

「当社にとって、改善のチャンスは年に12回、つまり毎月の計画サイクルごとに1回しかありません」とスタイジャー氏は述べ、サプライチェーンの課題は、問題が表面化した場所ではなく、はるか以前の段階で発生していることが多いため、真因の特定が不可欠です。

同社ではo9 デジタルブレインを活用し、ビジネスをエンドツーエンドで可視化。「単一の真実」を需要・供給・財務で共有しており、運用上の意思決定を財務インパクトに直結させることで、サイクルごとにビジネスそのものの改善を積み重ねています。

スタイジャー氏が語る効果的なポストゲーム分析の原則

  • システムをエンドツーエンドで把握する:自部門だけでなく、自社固有のシステムにおける原因と結果の関係を理解する。
  • 指標から始める:感情に頼らず、製品、地域、顧客、期間軸でデータを深掘りし、平均値に隠れた問題を特定する。
  • 心理的安全性を守る:「誰が間違えたか」を探る場になった瞬間、その分析は価値を失う。

HPE社:継続的改善を支えるCoEの構築

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ社(HPE社)のように、計画変革のためにセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を構築した場合、そのインパクトは計り知れません。同社は数百万ドルの外部開発コストを削減しながら、継続的に高いROIを生み出す内製化を実現しました。

デジタルトランスフォーメーション&アナリティクス シニアディレクターのブライアン・ルイス氏は、「システムを継続的に改善し、導入を拡大し、価値を証明し続けるエンジン」を目標に、CoEを単なるサポートデスクではなく、ガバナンス、優先順位付け、システム構成、継続的強化を担うビジネス主導のケイパビリティとして設計しました。

現在CoEは、厳格な成果主導型モデルで運営されています。すべての要件はビジネス上の課題と期待される成果を明確に定義してから着手します。「期待値から実現値へ」という方針のもと、KPIと効果検証を毎月実施し、インパクトを定量的かつ継続的に確認しています。

プラットフォームではなく「人」に焦点を当てる

プラットフォームではなく「人」に焦点を当てる

核心にある問題は、取り組み方の枠組みにあると同氏は主張し、「統合をテクノロジー実装として捉えた瞬間、すでに間違った方向に進んでいます」と述べました。新システム導入によりシステム環境は大きく変えられるかもしれませんが、組織と人はそうではありません。「役割はゆっくりと変わり、習慣の変化には時間がかかり、信頼は何カ月もかけて築かれるか、あるいは失われていきます。」とランゲンホイゼン氏が述べるように、プラットフォームにだけ目を向けていると、統合ではなく、混乱を招くだけの結果に終わります。

この変革を実現するには、プロジェクト管理を超えた「翻訳者」としての役割が必要です。ランゲンホイゼン氏は自らの役割を翻訳者であり、会社のオペレーションを改善するために存在しているといいます。ビジネスとITの架け橋となり、両者が力を合わせて共通の目標を持ち、ビジネスとITが緊密に連携することで真の成果が生まれます。

ルイス氏が提示するCoE構築の教訓

  • ビジネス主導で運営する:CoEをビジネス部門内に置くことで、説明責任と組織の整合性を根本から変革しました。
  • 技術的深度とビジネス文脈を両立させる:ビジネス知識は習得可能ですが、高度な技術能力は極めて希少なリソースです。この両面を兼ね備えた体制が鍵となります。
  • 構築しながらトレーニングする:実装フェーズ中に人材ケイパビリティを開発し、長期的な内製化を実現しました。
  • 価値で優先順位を決める:HPE社では、当初は細かい例外ケースを解決しようとしすぎたものの、機能拡張には必ず明確なビジネスケースを求めるように転換しました。
  • 実現したインパクトを測定する:便益の見積もりから毎月の検証へと移行し、「期待値から実現値へ」のシフトを実践しています。

※本記事は、2026年3月に米国で公開された記事の抄訳版です。内容および解釈については英語版が優先されます。

シリコン・ラボラトリーズ社:セルフサービス型モデルによる継続的な価値創出

半導体設計特化(ファブレス)のシリコン・ラボラトリーズ社は、o9 デジタルブレインの導入により、自動化された供給計画、日次更新、そして高度なシナリオシミュレーションを実現しています。ビジネスプロセスアナリストのダニエル・ヘンドリ氏は、これが「動的な需給変化への備え」を強固にしていると述べています。

同社は、チップ設計を自社で行いながら製造、組み立て、テスト工程を外部パートナーに委託しており、こうした機能が「動的な需要・供給の変化に対するチームの備えを強固にしている」とヘンドリ氏は説明します。

しかし、この域に達するには単なるシステム導入だけでは不十分でした。HPE社と同様に、継続的な改善へのコミットメントが不可欠でした。シリコン・ラボラトリーズ社の場合は、ビジネスのスピードに合わせてプラットフォームを自律的に進化させるため、セルフサービスモデルの構築に踏み切りました。

オペレーションアナリティクス マネージャーのアルン・クマラン・マニッカラジ氏は、このモデルへの移行が業界のスピードと複雑性に対応するための基盤であったと述べています。

セルフサービスモデルがもたらした価値

以前はデータ統合が複数の場所で行われており、問題が発生しても原因の特定が極めて困難でした。オーナーシップが曖昧なため、問題がクライアント側にあるのかオンライン側にあるのかという議論に終始し、生産性が低下していました。

同社は、セルフサービスモデルはこの分断を解消し、オーナーシップを集約した上で、データと機能強化のフローを標準化することで、この課題を解決しました。

  1. 第一に、信頼できる唯一の情報源を確立することで、一貫性のないデータ変換や論理の競合を排除しました。
  2. 第二に、データソースの品質を向上させました。上流工程で機能強化を適用し、送信するデータをクリーンに保つことで、下流でのエラーや手戻りを最小限に抑えています。
  3. 第三に、処理パフォーマンスを改善させました。バッチ処理時間を15%以上短縮したことで、ユーザーはより迅速に意思決定を下せるようになりました。
  4. 第四に、品質管理をシステムに組み込みました。自動アラートにより、プラットフォームに影響が及ぶ前に問題を察知できる体制が整い、事後対応から事前対応へとシフトしました。
  5. 最後に、構造化された優先順位付けを導入しました。社内からの様々な要望をビジネス価値、インパクト、緊急性、可用性に基づいて評価することで、ビジネスを前進させる取り組みへのリソース集中を実現しました。

フィンサ社:属人的レジリエンスからシステム主導の知性へ

100万通り以上の製品バリエーションを持つ装飾用木材メーカーであるフィンサ社では、長年、サプライチェーンのレジリエンスは「人に依存していた」とサプライチェーンディレクターのクリスティーナ・マルティネス氏は、当時の状況をこう振り返ります。

不測の事態が発生した際、対応は担当者の経験と専門知識に委ねられており、ある程度は機能していましたが、数千のSKU、複数の工場、変化する需要パターンが重なるにつれ、限界が露わになりました。「一つの部門や個人が波及効果を完全に把握することはできませんでした」と同氏は語ります。

フィンサ社が直面した問いは、レジリエンスが「あるか否か」ではなく、そのレジリエンスが「構造化され、拡張可能で、システムによって一貫して支えられているか」という点でした。この認識が、属人的な対応から、o9 デジタルブレインを用いた連携されたインテリジェンスへの変革を決断させました。

フィンサ社のオペレーティングモデルにおける主な変化

  • チーム間で共有される単一の現実:全員が同じ現実をリアルタイムで見られるようになったことで、合意形成が容易になりました。「あるチームの決定が及ぼす影響を、他のチームが即座に把握できる。意思決定と、それがもたらす結果が繋がっているのです」とマルティネス氏は強調します。
  • 属人化したナレッジを集合知へ:全員で同じ全体像を共有することで、レジリエンスは特定の個人のものではなく「集合知」として機能し始めました。システム全体を俯瞰した視点に基づく、精度の高い意思決定が可能になっています。
  • 混乱に備えるシナリオ計画:混乱を例外ではなく、日常的な環境の一部として定義しました。かつてのように事後対応に追われるのではなく、事前に多くのシナリオをシステム上で想定しておくことで、有事の際もパニックに陥ることなく、冷静かつ確信を持って対応できる体制を整えました。
  • プレッシャー下での冷静かつ自信に満ちた対応: 「対応がより冷静になりました。システムが複雑性の多くをユーザーに届く前に吸収することで、パニックなく自信と連携をもって意思決定できるようになりました」とマルティネス氏は言います。

アポロタイヤズ社:エンドツーエンドの意思決定

タイヤ製造大手のグローバル企業、アポロタイヤズ社は、バリューチェーン全体でリアルタイムかつエンドツーエンドでの意思決定を実現する取り組みを進めており、o9 デジタルブレインをそのスケーラブルな基盤として導入しました。

同社のサプライチェーン戦略・変革グループヘッドであるアルジュン・ヴァーマ氏は、o9を選定した理由としてスケーラブルなアーキテクチャ、サプライチェーンの統合力を挙げ、今後10年間にわたってビジネスを支えられるプラットフォームであると確信しています。

同氏が描くビジョンは、計画プロセスと緊密に連携したバリューチェーン全体のリアルタイム可視化の実現です。可視化は基盤ですが、インテリジェンスを加え、変化への備えを生み出すのは計画の力だと同氏は強調します「計画プロセスが極めて重要な役割を果たすのは、このアプローチ全体にインテリジェンスを加えるからです」
戦略・戦術の両ホライズンにわたるこのインテリジェンスこそが、オペレーションホライズンにおける変動管理に向けた「バリューチェーン全体の変化対応力」を生み出します。


※本記事は、2026年3月に米国で公開された記事の抄訳版です。内容および解釈については英語版が優先されます。

その他、様々なお役立ち情報をこちらに用意しております。併せてご覧ください:/ja/resources

著者について

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The Digital Brain Platform

米国ダラスに本拠を置くo9 Solutions(オーナイン・ソリューションズ)は、AIを搭載した次世代サプライチェーンプランニングプラットフォーム『o9デジタルブレイン』を提供しています。多様な業界の大手企業に導入されているo9デジタルブレインは、需要予測や供給計画、統合事業計画など、企業のサプライチェーンDXを強力に支援しています。私たちのミッションは、o9デジタルブレインを通じて、グローバル企業のサプライチェーン、商業、財務、サステナビリティにまつわる意思決定を変革することです。

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