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サプライチェーンマネジメント(SCM)におけるコントロールタワーとは、サプライチェーン全体のデータをリアルタイムで収集・可視化し、問題の検知から意思決定までを一元的に支援する仕組みのことです。日本語で「管制塔」を意味するコントロールタワーは、一般的にはなじみのある言葉ですが、サプライチェーンマネジメントの文脈においては、その意味するところはなかなか理解されていないのが現状です。
サプライチェーン関連の文脈でこの言葉が初めて登場したのは1990年代のことで、この30年の間にIT技術の進歩とともに、その目指すものも変わってきました。
現在では、サプライチェーン・マネジメントにおけるコントロールタワーは、以下の3つの問いに答える情報や知見をもたらすものと定義されています。
- 何が起きたのか?
- 次に何が起こりそうなのか?
- (その起こりそうなことに対して)どういうアクションを取るべきなのか?
コントロールタワーに求められる機能
この問いに答えるためにまず取り組むべきなのは、サプライチェーンやビジネスのパフォーマンスを可視化し、改善へ向けたオプションを提示することです。
最低限の機能として、様々なKPIの現状(計画との差異)やプロジェクトの進捗など、データをわかりやすくダッシュボード化することが求められます。しかし、不確実要素が増大している昨今の状況では、社内のデータだけで的確な意思決定を行うことは難しくなっています。より具体的には、以下の3つの機能が求められています。
ネットワーク全体のパフォーマンスの可視化
Tier1サプライヤーだけでなく、その先のサプライヤーの状況から店頭での販売データまで、あらゆるパフォーマンスに関するデータの可視化が求められています。自社のサプライチェーン全体のネットワークのなかで、どこに弱点があり、どういった対策が必要なのかを考える材料となります。
リアルタイムでのシナリオ比較・検討
需要(デマンド)側でも供給(サプライ)側でも、サプライチェーンで何らかのトラブルや問題が発生した際に、どうすれば最もダメージが少なく、より多くの利益を確保できるか、といった示唆を計画担当者にもたらします。「トラブル」には工場での生産や輸配送の遅れ、天候不順、急な需要増などが挙げられますが、コントロールタワーは様々なリアルタイムのデータを分析し、最適なシナリオを提示することで、顧客満足度を維持・改善しながらコストを抑えて利益を確保することを可能にします。
社内外を横断したコミュニケーションとコラボレーション
不確実性が増大している現代において、社内のみならず社外のパートナーとのコミュニケーションは非常に重要です。さらに重要なのは意思決定におけるコラボレーションで、その決定が社内外のパートナーにどのような影響をもたらすのかを理解しなければなりません。コントロールタワーは、コミュニケーションや正確な情報シェアを通じて、異変やトラブルへのその場しのぎの対応を繰り返すのではなく、ネットワーク全体での最適な意思決定へスピーディーに導きます。

コントロールタワーが必要とするデータ
コントロールタワーが「何が起きているのか」「何が起こりそうなのか」を把握するためには、以下のようなデータが必要になります。
【販売・需要データ】
自社の卸売実績(セルイン情報)、小売チャネルでの販売実績(セルアウト情報)
【在庫・生産データ】
自社の商品・原材料在庫、生産スケジュール、入荷予定
【サプライヤー情報】
サプライヤーの在庫、生産キャパシティ、生産スケジュール
セルアウト情報の課題
直接の小売チャネルを持っていないメーカー企業では、セルイン情報は持っていてもセルアウト情報を把握できていないケースが少なくありません。極端な例では、卸先からの追加発注を受けて初めて販売状況がわかる、ということもあるようです。
これでは急激な需要の上昇・下落に的確かつスピーディーに対応することは非常に難しく、リードタイムによっては小売店頭で品切れが続く事態にもつながります。リアルタイムでのセルアウト情報の入手が求められますが、チャネルによってはバイヤーなどから不定期に入手できるだけ、というケースも多いのが現状です。
サプライヤー情報の課題
サプライヤー側の情報についても、同様の課題があります。取引サプライヤーの数や規模にもよりますが、在庫・生産スケジュール・キャパシティなどをタイムリーに共有する仕組みが整っていないことが多く、サプライヤーのITレベルに合わせたきめ細かい対応が必要になります。
サプライヤー側にとっても最終製品の売れ行きを参考に生産スケジュールを調整できるメリットがあるため、今後の改善が期待される分野です。
輸配送の遅延リスク
原材料や商品がサプライヤーから出荷されても、予定通りに着荷するとは限りません。世界情勢による混乱、港湾施設の混雑、天候などによる遅れは避けられず、「着荷してみないとわからない」では対応への遅れが生じてしまいます。
o9ソリューションズのアプローチ
o9ソリューションズでは、これまで述べてきたような様々な機能を提供するとともに、独自技術のエンタープライズナレッジグラフ(EKG)を活用した社内外のデータ保管・活用、売上拡大に向けたプロモーションなどのマーケティング施策の検討、リアルタイムでの売上実績やマーケット情報との相関性の分析などを、お客様の計画業務プロセスに取り込むことが可能です。
また、AIやML(機械学習)を活用した需要予測精度の改善や、サプライヤーなどのパートナーとのコラボレーションを通じたサプライチェーン全体の効率化・最適化にも対応しています。
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著者について

o9
The Digital Brain Platform
米国ダラスに本拠を置くo9 Solutions(オーナイン・ソリューションズ)は、AIを搭載した次世代サプライチェーンプランニングプラットフォーム『o9デジタルブレイン』を提供しています。多様な業界の大手企業に導入されているo9デジタルブレインは、需要予測や供給計画、統合事業計画など、企業のサプライチェーンDXを強力に支援しています。私たちのミッションは、o9デジタルブレインを通じて、グローバル企業のサプライチェーン、商業、財務、サステナビリティにまつわる意思決定を変革することです。












