April 3, 2025
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グローバル大手自動車部品サプライヤーであるマレリは、変動性が高く複雑な業界セグメントで事業を展開し、世界中に7つの事業部門と170拠点を持ち、5万点のコンポーネンツと35万点のパーツという膨大なポートフォリオを管理しています。
さらに、顧客の高い期待、工場や多数の顧客に供給される半導体チップなどの重要部品の調整に加え、過去の合併等による異なるERPシステムやプロセスの併存が、サプライチェーンを一層複雑なものにしていました。
同社は、部門横断でグローバル・サプライチェーン・プロセスを一本化し、リスクを管理するため、全社での計画プロセスの標準化に向けた改革を進めています。その改革の一環として、マレリはSIOP(Sales, Inventory & Operations Planning)の変革にo9 デジタルブレインを活用しています。
この変革の取り組みを共有するため、o9ソリューションズはマレリ埼玉本社において「Go&See」イベントを共催しました。イタリアから始まったこのグローバル変革プロジェクトを日本はどのように展開したのか、そのリアルを伺いました。
導入前に直面していた課題
変革以前、マレリでは部門間のサイロ化が進み、営業、製造、サプライチェーン、調達といった各部門が「共通言語」を持っていなかったため、コミュニケーションが停滞したり、意思決定が非効率となったりしていました。
さらに、サプライチェーンは主にEDI(電子データ交換)に依存しており、中長期的な需要予測に関する社内ナレッジを十分共有化できていなかったため、予測精度の低下や在庫管理の非効率が課題となっていました。
導入において
現場での対応
現在、マレリでは需要計画や供給計画において、工場単位、部門別各拠点単位、またグローバル部門単位での月次ミーティングを実施し、グローバル統一の標準月次管理への第一歩を踏み出しています。これを実現するために、同社は様々な壁を乗り越えたと言います。
異文化の壁を越えた協力体制の構築
プロジェクトの推進において、まず大きな課題となったのが、イタリアと日本の文化や働き方の違いでした。ある事業部のサプライチェーン責任者は「一般的に、日本では新しいツールへの抵抗感があるため、相手のやり方を理解し、商習慣の違いを一歩下がって確認した上で進めることに重点を置きました」と振り返ります。成功のためには、プロジェクトを牽引するリーダーが一方的に進めるのではなく、多様性を持ち、現場の気持ちを汲み取って物事を進めることが重要であると述べました。
ある工場のマネージャーは、現場に新しいシステムを使ってもらう上で「24か月先のデマンドが見える」という新システムの価値に興味を持ったと語ります。また、既存システムのデータを新システムで利用するうえで、セールスIDの紐づけなどの作業が発生した営業部門のマネージャーは、「導入メリットを理解しないとチームの全面的な協力を得ることは難しい」と述べ、この変革によってサイロ化された組織を突破できるというビジョン、また会社全体の利益創出という目標を明確に伝えることの重要性を強調しました。
また、あるメンバーはこのプロジェクトが「トップダウンで行われたことが非常に重要でした」と述べ、経営層の強力なコミットメントと各ステップでのサポートが不可欠であったことを示唆しました。
グローバル標準化とローカライゼーションのバランス
グローバルで統一したシステムを利用するうえで、標準化は不可欠となりますが、多くの課題が伴いました。特に、イタリア側が認識するプロセスと、日本の現場の実態(例えば、工場間搬送の考え方、製品区分の細かさなど)には大きなギャップがありました。海外基準に合わせることで。従来見えていた情報が見えなくなるという懸念があった一方、より先(24か月先)の未来まで見えるようになるというトレードオフを受け入れました。
調達部門の責任者は、o9導入によって24か月先の計画を作成し、サプライヤーと共有するプロセスについて言及しました。特に、長期予測を求める半導体サプライヤーなどの要求に応えやすくなったメリットを挙げる一方、既存EDIを利用していないサプライヤーや下請法への配慮から、システム利用を強制できないという日本独自の課題についても指摘しました。
データ統合、品質、ガバナンスの確立
SIOPの核となるデータに関しても、統合、標準化、品質確保が大きなテーマとなりました。マレリは、既存の複数あるERPとの連携といった技術的課題に対しては、「Marc」と呼ばれるデータ連携基盤を構築し、o9 デジタルブレインとの緩衝材のような役割を果たしています。また、データ管理におけるグローバルと日本の連携体制や、セキュリティとコンプライアンスを考慮したアクセス管理などについても説明しました。
また、情報システム部の責任者は、現場で利用する部品番号と営業が利用するセールスIDとの粒度の違いから、困難だったデータの紐づけを自動化する仕組みを構築した経験を共有。現場の生の声を拾い上げることの重要性を強調しました。
さいごに
この大規模なグローバル変革プロジェクトには多くのリスクが伴います。各部門から様々な視点が挙げられましたが、プロジェクト成功の最も重要な要因として共通していたのは、経営層のコミットメント、明確なビジョン共有、部門間の連携、そして現場の声に耳を傾ける姿勢でした。また、導入はゴールではなく、継続的な改善と最適化を進めていくプロセスの一部であるという認識が共有されました。
マレリでは、今後も最適化を進め、AIの活用やESGのイニシアティブにも取り組む予定です。
イタリアで行われた Go&See Marelli の振り返り記事はこちらをご覧下さい:/ja/articles/magazine-marelli-transformation-story/
About the authors

o9
The Digital Brain Platform
米国ダラスに本拠を置くo9 Solutions(オーナイン・ソリューションズ)は、AIを搭載した次世代サプライチェーンプランニングプラットフォーム『o9デジタルブレイン』を提供しています。多様な業界の大手企業に導入されているo9デジタルブレインは、需要予測や供給計画、統合事業計画など、企業のサプライチェーンDXを強力に支援しています。私たちのミッションは、o9デジタルブレインを通じて、グローバル企業のサプライチェーン、商業、財務、サステナビリティにまつわる意思決定を変革することです。












